小沢氏不起訴、地検の葛藤 「十二分の証拠」が壁 政治家のうそは鮮明に(産経新聞)

 東京地検特捜部が小沢一郎民主党幹事長を不起訴処分にしたのは、民意で政権交代を牽引(けんいん)した大物政治家に対しては、百パーセント有罪にできる「十二分の証拠」がなければ、訴追を断行すべきではないという検察当局の判断があった。1年に及ぶ捜査は高い壁に阻まれたが、その一方で政治資金を「すべて公開している」と主張し続けた「政治家のうそ」が捜査の過程であぶり出された。(河合龍一)

                   ◇

 「献金の収支をすべてオープンにしているのは私だけ。にもかかわらず検察権力の発動は公正を欠く」

 小沢氏と特捜部の攻防の始まりは昨年3月にさかのぼる。公設第1秘書の大久保隆規被告(48)が逮捕された翌日、小沢氏は「オープン」という言葉を何度も使い、痛烈な検察批判を展開した。

 問われたのは政治資金収支報告書に記載された「表の金」。身内の検察OBからも批判が相次いだ。それでも、特捜部が捜査を継続させたのは、「裏の金」の糸口をつかんだからだ。水谷建設の裏献金疑惑だ。

 岩手県の胆沢(いさわ)ダム工事の受注謝礼として、平成16年10月に衆院議員の石川知裕(ともひろ)被告(36)に5千万円を渡したなどとする証言を、水谷建設元幹部らから得た。「授受」直後には小沢氏の資金管理団体「陸山会」が事件の舞台となった土地を購入していた。特捜部は「裏献金」が土地代金に含まれているとの仮説を立てた。

                   ◇

 土地購入の経緯を調べると、購入直前に5千万円などの単位で陸山会の口座に計4億円が入金され、この中から土地代金約3億5千万円が支払われていた。その直後、定期預金を担保に4億円の融資を小沢氏名義で受けていた。土地代金の原資4億円は収支報告書に記載されていなかった。

 特捜部がもっとも注目したのは、この複雑な資金操作だ。「裏献金」を隠すために不必要な融資を受け、土地代金の原資と装ったのでは−との疑念を深めた。

 実際、石川被告は「資金の出どころを隠すための偽装工作」と認めた。陸山会の「慣習」として小沢氏の指示を否定したが、不動産を購入する際の預金担保の融資は6年に小沢氏の強い意向で始まっていた。

 小沢氏は当初、土地代金の原資を「献金」(19年2月)と説明していたが、疑惑が表面化すると「融資」(昨年10月)に変わり、融資前の購入が発覚すると「個人資金」(今年1月)と二転三転させた。

 さらに、石川被告は「虚偽記載や偽装の融資は小沢先生の了承を得ていた」とも供述した。

                   ◇

 こうした状況から、特捜部は「有罪を得られる十分な証拠はそろった」として検察首脳との最終協議に臨んだが、結論は「十二分の証拠が必要」だった。

 主に障害となったのは(1)石川被告から虚偽記載の動機につながる「裏献金」を認める供述を得られなかった(2)「了承」より強い「指示」の供述が得られず、小沢氏の積極的関与を立証できなかった−の2点。

 ある検察幹部は「小沢氏は選挙で選ばれた影響力の大きい政治家。百パーセント有罪にできる証拠がないと起訴すべきではない」と語る。

 昨年3月の捜査では強い世間の批判を浴びたが、今回の捜査は世論調査で7割が支持した。立件のハードルを上げたため、またしても「秘書の犯罪」で終わったことは、その期待を裏切る形になった。

 ただ、今回の捜査は「すべて公開」「融資で購入」という小沢氏の偽りを鮮明に浮かび上がらせた点で意義があった。

露大使館周辺で街宣活動 男らを現行犯逮捕(産経新聞)
石川議員、離党が望ましいと仙谷行政刷新相(読売新聞)
<制服>警官エンブレム偽造の2容疑者逮捕 茨城(毎日新聞)
<個所付け>民主、資料の一部を野党に提出(毎日新聞)
秋葉原殺傷第3回公判 証人を遮蔽、けがの状況生々しく(産経新聞)



このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。